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2007年度SPP&BSSP講座II〔食品〕 第5回講座実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2007

テーマ

「日本の食文化と科学技術 ~醸造技術と発酵技術~」

第5回講座

11月12日(月)11時~16時

場所

東京農業大学世田谷キャンパス18号館8階実験室

講師

東京農業大学短期大学部醸造学科教授 舘 博先生

内容

「麹の酵素力価をはかる」

1)酵素実験
ミルクカゼインを基質として、麹菌より得た粗酵素液を反応させ、全プロテアーゼ力価を求める。

2)プレゼンテーション実習「各班で求めた力価を発表する」

3)実験データの解説

2007年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト第5回講座〔講座II:食品〕は東京農業大学世田谷キャンパスで行われました。

講座は、実験室がある18号館8階からの眺望に圧倒されるところからスタートしました。学食で昼食を取り、ちょっぴり大学生気分を味わった後、酵素力価に関する専門的な実験をはじめました。実験は、班ごとにアシスタントの大学院生や学部・短大の学生さんが数名ほど付いて、実験操作の指導や助言を行っていただき、大学生と生徒との交流も盛んに行われました。

実験の目的は、醤油・味噌をはじめ清酒や味醂などの醸造に欠かせない麹菌というカビを生やした麹から得た酵素の酵素力価を求めることです。麹には多くの酵素が存在し、醸造において重要であるタンパク質分解酵素プロテアーゼがどのくらいの割合でタンパク質を分解するかを、チロシン1μgを1分間に生成する割合(Unit/g)として求めました。普段使ったことがないメスピペット、安全ピペッター、吸光度計など専門的な器具や分析機器を用いる本格的な生化学実験でした。また、酵素力価を求める計算も難易度の高いものでしたが、先生や大学生の皆さんの熱意あるご指導をいただき、最後までデータを求めることができました。

実験の途中で、大学で製造した味噌のテイスティングを行いました。甘い味噌、塩辛い味噌と2種類の味噌を比較しました。

普段学校での実験は限られた時間の中で窮々と行われますが、SPP関連の実験は、難しい内容でも、時間を掛けて一人ひとりが実験操作に参加し、自ら分析実験に参加しているという意識と、データを出すという責任を自覚できることもSPP講座の魅力といえます。最後に、純白の本格的な白衣に身を包んだ若き科学者の卵達は、お世話になった舘先生はじめ学生さんと一緒に記念写真を撮って講座は終了し、次回の醤油工場実習へと期待はさらに高まるのでした。

その他の2007年度SPP活動報告はSPP・BSSPの紹介ページをご覧ください。

東京農業大学ホームページ

次回SPP講座予告

第6回講座〔講座II:食品〕
日程:12月14日(金)
場所:ヒゲタ醤油株式会社銚子工場
内容:日本の伝統食品「醤油」の製造工程について