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2008年度SPP講座II〔食品〕第1回講座実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2008

【テーマ】「日本の食文化と科学技術II ~アルコール発酵技術と私たちの健康~」

第1回講座

11月5日(火)9時30分~15時15分

場所

海大学付属市原望洋高等学校2号館1階生物実験室

「酵母のアルコール代謝を見てみよう」

講師

講座担当 東京農業大学短期大学部醸造学科 
舘 博 教授
穂坂 賢 准教授

内容

1.講義:「アルコール発酵、アルコールと健康について」

2.実験:「酵母のアルコール代謝について」

2008年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)講座II〔食品〕の第1回講座が本校2号館1階生物実験室で行われました。 

はじめに、穂坂先生からアルコール発酵の基礎的な内容に関する講義を受けました。発酵の方法には、単発酵(ワイン、ブランデー、果実酒など)、 単行複発酵(ビールなど)、並行複発酵(日本酒、焼酎など)があり、単発酵は、原料の中にもともと糖分が含まれているため、そのまま酵母を加えて発酵を行う方法、また、並行複発酵は、米や麦を原料として麹や麦芽に含まれる酵素によって糖分に変え、さらに酵母によって発酵させる方法である事を学びました。酵母の学術名は、「Saccharomyces Cerevisiae」、“サッカロマイセスセレビシエ”。生徒に強く印象を与えた名称となりました。さらに、アルコールの代謝や酔いについて学習し、アルコールと健康に関する内容にも触れました。 

次に、「酵母のアルコール代謝」について生化学実験を行いました。グルコース20%の培地(麦汁エキス培地、果汁培地、合成培地)での酵母(ビール酵母、ワイン酵母、焼酎酵母)による炭酸ガス生成とアルコール生成を測定しました。実験操作は、すでに発酵済みの培地が入った三角フラスコの発酵前と発酵後との質量を測定し、その差から発生した二酸化炭素の生成量を求めました。また、アルコール生成量の測定は、専用の蒸留装置を用いて発酵液を蒸留し、そのアルコール留分をメスシリンダーで計り取り、日本酒度計(浮ひょう)を用いてアルコール生成量を算出しました(この方法を「浮ひょう法」といいます)。実験操作自体は簡単でしたが、生徒達が測定した値からは、それぞれの培地と酵母との関連性や外的環境が炭酸ガス生成量やアルコール生成量に大きく影響することがわかり、得られた値が持つ意味の深さなどを学ぶことができました。また、講座中は、昨年度の講座からお世話になっている舘先生や穂坂先生とアルコール発酵や実験に関する話題で楽しく会話している様子もうかがえました。 

次回は、東京農業大学世田谷キャンパスでより専門の実験へと進みます。ここでは、発酵が進む原料の物質返還について学習する予定です。 

その他のSPP活動報告はSPP・BSSPの紹介ページをご覧ください。

次回SPP講座予告『講座II〔食品〕』

日程:11月17日(月)
連携機関:東京農業大学短期大学部醸造学科
場所:東京農業大学世田谷キャンパス
テーマ:日本の食文化と科学技術II ~アルコール発酵技術と私たちの健康~