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2009年度 理科特別講座 SPP第6回講座〔環境〕実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2009

2009年度 SPP第6回講座〔環境〕実施報告
「海と人間との共生を探ろう~海洋環境と飼育技術の多様性~」

第6回講座

9月7日(月)

場所

東海大学付属市原望洋高等学校 2号館1階生物実験室

テーマ

「ベラ科魚類の雌雄性と性変化現象に関する実験」 

講師

前東海大学海洋科学博物館館長 西源二郎先生
前東海大学海洋科学博物館課長 小林弘治先生

内容

2009年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)第6回講座〔環境〕は,8月31日(月)の台風11号による影響で延期となった第5回講座より先に行われました。

SPP〔環境〕では,水族館の飼育技術を教材にして,ベラ類の雌雄性に関する実験や水族館での飼育環境や保全技術(濾過システム,濾過循環技術)について学習し,水槽という小さな海洋環境とそれに伴う飼育技術についての知見を深め,海と人間との共生や地球環境について考察することを目的として行われます。今回は,ベラ科魚類の雌雄の割合と性転換の割合を求めるため,生殖腺(一次精巣,卵巣,二次精巣)の観察,性転換率の算出を行い,性変化現象と生育環境について考察する解剖実験を行いました。

はじめに,西先生より「海の環境と水族館」をテーマに海の環境がどのようになっているのか,水族館はどのような活動が行われているのかについて説明がなされました。海洋汚染のひとつに,赤潮の発生があります。発生原因に生活廃水や産業排水などの影響を受け,それにより大きな被害が出ており,対策としての法制度化や私たちの海洋環境に対する考え方,取り組み方が大切であることを学びました。また,クラゲの異常発生も環境に大きく左右されることも知りました。「クラゲスパイラル」という言葉が印象的でした。水族館の活動は,単にめずらしい魚類を管理・展示するのみではなく,飼育技術の向上や自然保護の観点から種の保存・環境教育にも取り組んでいる場であることも理解できました。

午後からは,ベラ科魚類の雌雄同体性に関する実験を行いました。ベラ科魚類の多くは,生涯のうちに雌から雄に性が変化する雌雄同体現象を生じます。実験では,ベラを解剖して精巣または卵巣を摘出し,雌雄の割合から性転換が行われる要因や外的影響について考察しました。小林先生のご指導のもと,肛門からえらに向かって解剖バサミを入れて開腹し,一次精巣や卵巣を確認しました。卵巣の一部をスライドガラスに載せ,顕微鏡で観察すると小さな卵が集合しているのが観察されました。魚の解剖実験は貴重な体験となりました。実験の最後に恒例のグループディスカッション,ホワイトボード(シート)によるプレゼンテーション実習を行いました。

次回は,〔環境〕の第5回講座(8/31実施延期分)を行います。

次回SPP講座予告
SPP第5回講座〔環境〕「海と人間との共生を探ろう~海洋環境と飼育技術の多様性~」

日時:9月18日(金) ※台風による影響で8月31日実施予定が変更になりました
場所:東海大学付属市原望洋高等学校
講師:日本科学未来館科学コミュニケーション推進室展開・育成グループ学校連携担当
   谷村優太先生,吉田健二先生,田中透先生
内容:「実践!科学コミュニケーションII」パソコンを利用したプレゼンテーション実習