ニュース詳細

2009年度 理科特別講座 SPP第7回講座〔環境〕実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2009

2009年度 SPP第7回講座〔環境〕実施報告
「海と人間との共生を探ろう~海洋環境と飼育技術の多様性~」

第7回講座

10月5日(月) 10時30分~15時20分

場所

サンシャイン国際水族館,サンシャインシティコンファレンスルーム6

テーマ

「水族館の役割と飼育環境保全技術について」

講師

株式会社サンシャインエンタプライズ水族館展示課 二見武史氏,堀田明里氏

内容

2009年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)第7回講座〔環境〕は,池袋にあるサンシャイン国際水族館で行われました。

はじめに少人数のグループに分かれて水族館の裏側を学習するバックヤードツアーに参加しました。マンボウの水槽からスタート。水槽ガラス内側には透明なシートが張られており,マンボウが衝突した際に体を保護するために設置したとのことでした。単純でも飼育環境の維持がなされていることに感心しました。その後,水槽の裏側へ突入。通常では決して入ることの無い空間へ入っていくと,砂袋が置かれ,水槽を中心にろ過槽やパイプが縦横にはしっており,普段見慣れている水族館とは全く異なる世界がひろがりました。ラッコを飼育している水槽では密閉式ろ過装置が多く設置されていました。また,海水の有機物を浄化するプロテインスキマーという装置は泡の力を借りて汚れを取る装置であることなど,飼育保全のための科学技術が飼育生物の生育環境に合わせて駆使されていることを学びました。
その後,通常の見学ルートに戻り,担当者より説明を受けながら,亜熱帯の海や回遊水槽,大型淡水魚,熱帯雨林やマングローブの森などで生育する生物達の生息について学習しました。

午後からは,サンシャインシティコンファレンスルームで,水族館の役割や飼育技術について詳しく説明を受けました。水族館の役割には,「研究,レクレーション,保存,教育」があり,ハード面とソフト面で役割が異なること,お互いの融合性が大切である事を知りました。単に来訪者に対して幻想的な雰囲気で生物を鑑賞させるための場ではなく,研究はもちろん,種の保存や教育活動にも貢献し,最終的にはレクレーションとして来訪者に還元していける水族館が求められていることを学びました。飼育員一人ひとりがどのような水族館を目指しているか,しっかりとビジョンを持って取り組むことが大切であることも知りました。今回の講座を受け,水族館のテーマ性,飼育目的,水族館のあり方(レクレーション)など,ちょっと辛口な視点で水族館に入ってみると,今までとは違った水族館が目に飛び込んでくることを知った一日でした。

以上で,第5回~第7回のSPP講座〔環境〕は終了しました。海と人間の共生には様々な科学技術が駆使されており,その背景には,生物の生態をしっかりと捉え,飼育保全していこうとするための思想やビジョンが大切である事を学びました。

次回は,SPP講座〔材料〕が3回シリーズ(第8回講座~第10回講座)でスタートします。生物系から素材・材料系へと世界が大きく転換します。お楽しみに。 

次回SPP講座予告
SPP第8回講座〔材料〕「身のまわりの材料に着目した科学技術~ものつくり加工技術の一端に触れよう~」

日時:11月9日(月)
場所:東海大学付属市原望洋高等学校 2号館1階化学実験室
講師:日本科学未来館科学コミュニケーション推進室展開・育成グループ学校連携担当
   谷村優太先生,吉田健二先生,田中透先生
内容:「実践!科学コミュニケーションⅢ ~超伝導実験からプレゼンテーションまで~」