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2009年度 理科特別講座 SPP第10回講座〔材料〕実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2009

2009年度 SPP第10回講座〔材料〕実施報告
「身のまわりの材料に着目した科学技術~ものつくり加工技術の一端に触れよう~」

第10回講座

11月26日(木)10時00分~16時30分

場所

株式会社荏原エリオット

テーマ

「ものつくり加工技術の一端に触れようII」 

講師

株式会社荏原エリオット担当スタッフの皆様方

内容

2009年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)第10回講座〔材料〕は、袖ヶ浦市にある(株)荏原エリオットで行われました。製缶工場、機械工場、組立試験工場、回転体組立工場4つの大きな工場を備え、ターボ機械の専業メーカーとして質の高い製品とサービスを世界に提供している会社です。

はじめに田中社長よりご挨拶をいただき、講座がスタートしました。午前中は一般講義として、会社概要、製品、環境への取り組みについて説明が行われました。工場で使用されているガスタービンや蒸気タービンなどの部品を中心に製造されていることがわかりました。また、ワークステーションによる3次元CADは、コンピュータに触れる機会が多い生徒諸君にとって“作図してみたい”という思いを抱かせる絶好の紹介となりました。環境への取り組みとしては、ISO14001取得や環境に配慮した企業活動について説明を受けました。昼食は、社員食堂でいただき、社員の皆様方と同じ空間を共有することができました。

午後からは、実験に関する専門講義「回転体のバランス」について授業を受けました。学校で学んでいることが直接生かされている場であることを実感しました。受講後、工場内を見学しました。巨大なクレーンが動き、金属を研磨し、タービンなどの羽根車を製作している様は圧巻でした。時間を掛けて金属の加工を精密に行う旋盤機械や溶接工場など、エンジニアが集結し、金属と油が融合した独特の機械工場の匂いから、ものづくりの精神が随所に漂う世界を垣間見ることができました。その後、試験用ロータを用いての「バランス修正作業」に関する実験に移りました。回転体の左右円周上2面に錘を入れる穴が数箇所あり、そこにネジを入れて物体全体のバランスを如何に取れるかに関する実験です。回転モーメントに関係するテーマで、製作したタービンがバランスよく回転できるかどうかを検査する操作を模擬的に行う内容です。生徒は予め台座に回転体を乗せて、錘を線対称の方向に均等に差込みバランスを取ります。その後、精密機械を使ってバランスを測定します。機械では2面のバランスも測定されるため、調整が難しいことを実感として得ました。最後に、グループディスカッション、プレゼンテーションと進みました。生徒からは、3D-CADについて、製品開発について多くの質問がなされました。ものづくりの基本は物理や数学の基礎は当然ながら、最も大切なことは企業人として製造に対する情熱と人間としてのコミュニケーション力である事を教えていただきました。

今回の講座で、2009年度のSPPのメイン講座が終了しました。10回にわたって最先端の科学技術を学んできました。事後指導として1月に報告書作成実習が残すのみです。まだまだSPPは続きます。

次回SPP講座予告『SPP事後指導 報告書作成実習〔全講座〕』

日時:2010年1月20日(木)
場所:本校 2号館1階生物実験室