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2010年度 理科特別講座 SPP実施報告(第3回講座〔食品〕)

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2010

2010年度 SPP第3回講座〔食品〕
「日本の食文化と科学技術Ⅳ ~宇宙食、新しいようで古い食品加工技術~」

日時

6月18日(金)

場所

東海大学湘南キャンパスA館1F応用化学科実験室、17号館学科研究室・E館2F応用化学科第8実験室、F館1階応用化学工学実験室

時間

10時30分~16時30分

内容

フリーズドライの科学

担当

東海大学工学部応用化学科
淺香隆 准教授、秋山泰伸 准教授、樋口昌史 准教授

内容

SPP第3回講座は、「フリーズドライの科学」と題して、フリーズドライ食品の製造に関わる凍結乾燥法や微視的構造について湘南キャンパスの実験室を利用して学習しました。

はじめに、応用化学科片山主任教授のご挨拶をいただいた後、今回のテーマである物質の姿をいろんな角度から調べる高度物性評価施設がある17号館分析センターへ移動し、最先端の分析装置を見学しました。透過型電子顕微鏡、電界放出形分析電子顕微鏡、飛行時間形二次イオン質量分析計、X線装置など原子レベルの観察ができる装置が多数設置され、物質の構造が様々な手段を使って調べられていることを学習しました。また、分析装置の操作が訓練を受ければ学生でも扱える教育システム(マイスター制度)があることも興味が増しました。

午後からは、フリーズドライに関する本格的な実験がスタートしました。凍結乾燥法技術に関する実験では、実際にプリンやゼリーを小片に切断し、凍結乾燥装置に入れてフリーズドライになっていく様子を観察しました。また、テクスチャー測定では、硬さ、軟らかさ、べた付き感を調べました。その後、凍結乾燥したプリンとゼリーを食べるテイスティング実習を行いました。さらに、微視的構造に関する実験では、プリンやゼリーの表面の様子を電子顕微鏡で調べました。試料に毛髪を加え、試料全体を金メッキ処理した後、約1000倍に拡大した表面を観察しました。プリンの表面は滑らかで、ゼリーは繊維質のような構造が観察され、毛髪はきれいなキューティクル構造を確認することができました。

実験後は、グループディスカッションならびにプレゼンテーション実習を行いました。6つのグループに別れ、プリンとゼリーの食べ比べと電子顕微鏡からみた構造の違いやテクスチャー実験との比較、実験室見学での感想などをまとめ発表しました。テクスチャーの測定では、温度が低いほど、硬く、粘着性が低いこと、プリンの方が比較的変化の差が小さいこと、その背景には、牛乳を入れたことによるタンパク質の影響があるのではないかという発表がありました。また、質問では、凍結乾燥が不可能な食品にはどのようなものがあるか、フリーズドライ後の食品を完全に戻すことができるのか否か等の質問がなされました。先生方の懇切丁寧な説明は、フリーズドライの興味をより一層高めることになり、宇宙食の開発技術の一端を知る機会となりました。

次回は、JAXA筑波宇宙センターで、宇宙技術や宇宙食開発の最先端現場を訪問し本講座のまとめを行います。

次回 SPP講座予告
SPP第4回講座〔食品〕「宇宙食研究の最先端技術を知ろう」

講師:JAXA有人宇宙環境利用ミッション本部
   有人宇宙技術部宇宙飛行士健康管理グループ 中沢孝氏
   JAXA宇宙教育センター主任 松岡均氏 
場所:JAXA筑波宇宙センター 
内容:講義、施設見学実習、プレゼンテーション実習 等