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2013年度 理科特別講座 SPP&BSSP実施報告(第3回講座〔素粒子〕)

Science Partnership Program & Boyo Special Science Program 2013

2013年度 SPP講座〔素粒子〕第3回講座
「素粒子の世界が宇宙の謎を解く~素粒子がもたらす未来の科学技術~」

日時

12月13日(金)11時00分~16時30分

場所

JAXA相模原キャンパス

内容

小惑星探査機“はやぶさ”に採用されたイオンエンジンを中心に、最新宇宙技術を学習し、未来の科学技術を拓く知識を身につける。

講師

JAXA宇宙科学研究所 西山 和孝 氏

内容

今回は、JAXA相模原キャンパスにて、惑星探査衛星“はやぶさ”について、イオンエンジンを中心に学びました。はじめに、2003年の打ち上げから、2005年の小惑星“いとかわ”でのサンプル採取、2010年地球への帰還までの流れを映像などもおりまぜながら説明していただきました。途中、いくつもの苦難を乗り越えたやはぶさの活躍については、映画化もされ生徒にとっても興味の持てる内容でした。今回講義をしていただいた西山先生は、その映画の中でも運用スーパーバイザーとして描かれており、はやぶさのミッションを支えた一人でです。また、イオンエンジンの開発では、指折りの研究者であり、後半はイオンエンジンの仕組みや特徴をわかりやすく解説していただきました。宇宙のエンジンというと、パワーの大きなものを想像しますが、宇宙探査では、出力は小さくても、少ない燃料で長時間加速のできる燃費のいいエンジンが重要だとわかりました。はやぶさのイオンエンジンでは、キセノンガスを燃料に使い、電子レンジで使われる電波と同じようなマイクロ波を使い、イオン化した粒子を電気力によって加速して推進力としていることを学びました。また、イオンエンジンの他にも、プラズマを利用した電気推進ロケットも世界各国では開発されているとのことでした。

講義の後は、JAXAの施設や展示物を見学しました。人工衛星や、JAXAの様々なプロジェクトについて説明をしてもらいました。そして、今回は特別に、はやぶさⅡに搭載予定のイオンエンジンを動かしていただき、実際にプラズマが噴射しているエンジンを観察することができました。真空の実験用チェンバーの中で青白く光るエンジンを見ることができました。光の筋があまりたくさん見えるエンジンは燃費が良くないということで、今回観察したエンジンから出る光の筋はそれほど長くはありませんでしたが、宇宙ではこのように光を出しながら推進していると思うと感動を覚えました。

見学の後は、班ごとに、イオンエンジンについてわかったことや、宇宙探査機に使うには、どのようなエンジンがいいか等についてディスカッション、プレゼンテーションを行いました。今回で、素粒子の講座は終了となりますが、素粒子をコントロールしたり利用する技術が、基礎物理学や医療、宇宙開発にとって重要なものだとわかりました。

その他のSPP活動報告はSPP・BSSPの紹介ページをご覧ください。