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望洋理科特別講座(BSSP)「DNAと放射線の基礎」①

今回は、3年生の特進コースの生徒29名が、望洋理科特別講座(BSSP)として、稲毛にある国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(QST)にお世話になりました。

午前中の講義

午前中の講義

午前中は「放射線の基礎知識」というタイトルで、講義をしていただきました。講義は、安全管理部部長の北川敦志先生にご担当いただきました。まず、物質のなりたちから原子の構造までを復習していただきました。そして、その中の原子核自体が崩壊等の変化をするときに、エネルギーとして放射線が放出されるということを学びました。また、原子の種類によって崩壊速度(半減期)が決まっているということや、太古から存在する放射性物質、毎日新たに生成される放射性物質も自然に存在していることがわかりました。その自然放射性物質が、生成されたり崩壊したりという比率を計算することで、年代測定もできるということを教えていただきました。更にそれは、市原市のチバニアンの発見にもつながっていたということを知り、普段は別々のものとして学んでいる「科学」と「歴史」も、このような結びつきがあるということに驚きました。理系・文系に偏らず幅広く学ぶことの大切さを感じることができました。続けて「放射線によるDNAの変化」についても学びました。放射線で被ばくをしてしまうこともあるけれど、その性質を利用して、がん細胞のDNAを壊すのが、がん治療だということがわかりました。

霧箱による放射線の観察

放射線の測定実習

座学の後は、霧箱を使って、実際に放射線の飛跡を見たり、昆布や塩など、身の回りの物質の放射線を測定したりする実習を行いました。また、人間自身からも放射線は出ているということを知り、放射線は意外と身近な存在だと感じました。放射線について正しい知識を持つことで、単に放射線を怖がるのではなく、様々な情報を正しく判断することができるということもわかりました。そして、放射線に限らず、世の中の様々な情報に触れる際は、正しい科学的知識が必要であると再認識できました。

HIMACの見学

HIMACのイオン源発生装置

頭部用PET装置

午後は、施設見学を行いました。午前中の講義でも説明のあった、重粒子線を用いたがん治療の装置(HIMAC)を見学し、重粒子をがん治療に適した速度まで加速する装置は想像以上に大きいということがわかりました。しかし、その装置により加速した重粒子を治療に用いるのは、普通の放射線治療と比べ、多くのメリットがあるからだということもわかりました。その後、放射性物質を用いたPETという画像診断装置を見学しました。実際に画像を見せていただき、CTの画像に比べ、PETの画像は、がん細胞などの見つけたい細胞がはっきりと区別できることがわかりました。また、頭部用PETを用いて画像を診断することで、アルツハイマー病に特有の物質も見つけることができ、かなり早期に予兆が診断できるとの説明を聞き、普段はレントゲン画像くらいしか接することがない画像診断も、様々な目的でいろいろな装置が研究されているということに感動しました。

班でディスカッション

プレゼンテーション

1つ1つ質問に丁寧にご回答くださいました

最後に、班ごとに今回の講座を自分たちなりにまとめ、プレゼンを行いました。講師の先生や研究者の方々にもご覧いただき、質問にもひとつずつ丁寧に回答をしていただきました。今回の講座では、放射線でDNAが壊れたり、遺伝情報が変化することもある、ということも学んだので、次回のかずさDNA研究所での講座で、その遺伝子の解析について学べるのが楽しみです。

次回の講座は、11月28日かずさDNA研究所にて実施します。