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2009年度 理科特別講座 SPP第8回講座〔材料〕実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2009

2009年度 SPP第8回講座〔材料〕実施報告
「身のまわりの材料に着目した科学技術~ものつくり加工技術の一端に触れよう~」

第8回講座

11月9日(月)15時30分~18時00分

場所

東海大学付属市原望洋高等学校 化学実験室

テーマ

「実践!科学コミュニケーションIII ~超伝導実験からプレゼンテーションまで~」

講師

日本科学未来館科学コミュニケーション推進室展開・育成グループ学校連携担当
谷村優太氏,吉田健二氏,田中透氏

内容

SPPでは,〔食品〕〔環境〕〔材料〕のテーマ毎に「科学コミュニケーション」をテーマとした講座を実施しています。講座で学習したことを発表する技術やノウハウはどんなテーマでも共通のものといえます。第1回講座では,ホワイトボードを利用したグループディスカッションやプレゼンテーション技術を習得しました。第5回講座では,パソコンを用いて,パワーポイントでスライド画面を作成し,自分の考えを聴衆に効果的に伝えるための技術を学習しました。今回は,グループ実験を通じて得られた結果をまとめ,各班の考えを発表する科学コミュニケーション技術を学習しました。

講座は,実験と超伝導に関する講義の同時進行で展開しました。はじめに,液体窒素を用いて金属線を冷却し,電気抵抗の変化を観察しました。金属線コイルを直列接続した豆電球に電流を流すと,常温では暗く点灯しました。しかし,コイル部分を液体窒素で冷却するとすぐに豆電球が明るく点灯しました。金属の電気抵抗は温度が低いほど小さくなるという効果が確認できました。次に,低温下で電気抵抗が0になる超伝導物質に関する講義を受け,実際にその物質に触れました。今回使用した超伝導物質はセラミックス製で,常温下では電気的にほぼ絶縁体と同じ性質を示します。まず,常温下の超伝導物質にネオジウム磁石(非常に強力な永久磁石)を近づけてみましたが,引き寄せられるなどの性質は観察できませんでした。しかし,超伝導物質を液体窒素で冷却すると,磁石のN極を近づけてもS極を近づけても斥力がはたらき反発するという現象が観察できました。このマイスナー効果についての講義を受け,次に行ったのはピン止め効果の実験でした。磁力線を完全に排除するのがマイスナー効果ですが,超伝導物質にわずか混入している物質の影響で,一部の磁力線が超伝導物質に入り込み,距離を置いて磁石と超電導物質が固定されるという非常に面白い現象が確認できました。生徒達は食い入るように観察し,実際に触れ,驚きを表していました。

次に現代の超伝導の利用について講義を受け,最後に,生徒達の自由な発想による「超伝導の利用法」についてグループディスカッションを行いました。その後,班毎にプレゼンテーションを実施しました。中には「超伝導ベッド」や「超伝導シューズ」など,ユニークな発想もあり,活気のあるプレゼンテーションとなりました。

次回は,〔材料〕の第9回講座を新日本製鐵株式会社君津製鉄所で行います。

次回SPP講座予告『SPP第9回講座〔材料〕』

日時:11月13日(金)
場所:新日本製鐵株式会社君津製鉄所
講師:新日本製鐵株式会社君津製鉄所鉄鋼研究所接合研究センター長 野瀬哲郎 氏
   新日本製鉄株式会社君津製鉄所広報センター 岩田千佳 氏
内容:「ものつくり加工技術の一端に触れようI」