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2009年度 理科特別講座 SPP第9回講座〔材料〕実施報告

Science Partnership Project & Boyo Special Science Program 2009

2009年度 SPP第9回講座〔材料〕実施報告
「身のまわりの材料に着目した科学技術~ものつくり加工技術の一端に触れよう~」

第9回講座

11月13日(金) 11時00分~16時30分

場所

新日本製鐵株式会社君津製鉄所

テーマ

「ものつくり加工技術の一端に触れようI」

講師

新日本製鐵株式会社君津製鉄所鉄鋼研究所接合研究センター所長 野瀬哲郎 氏
新日本製鉄株式会社君津製鉄所広報センター 岩田千佳 氏

内容

2009年度サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP)第9回講座〔材料〕は,君津市にある新日鐵(株)君津製鉄所で行われました。

君津製鉄所は敷地面積が1,020万平方メートルで東京ドーム約220個分の広大な工場地帯となっています。工場内に消防施設,信号機,踏み切りや鉄道レールがひしめき,大型トラックやバスが頻繁に通り,ひとつの街を形成しているようでした。外周部には樹木緑化対策で全手葉椎(ドングリ)をはじめ多くの樹木が植えられており,二酸化炭素の吸収,騒音・粉塵飛散防止,防火の役割を果たしています。

はじめに展示ホール内で君津製鉄所の様子や製鉄の歴史などをパネルにて学習しました。その後,テクノロジーセンターにおいて,野瀬センター所長から「鉄の微視組織と強さ」をテーマに鉄の強度が生まれる過程や技術について説明を受けました。鉄鋼材料の使用例では,普段目にする橋梁やビルの鉄筋部,羽田空港海上滑走路鉄骨部などが紹介され,改めて鉄が多くの場所で使われていることを確認できました。さらに,「転移と粒子の相互作用」として,鉄の強度の違いがどのように生まれるかを学習しました。強度の違う10cm×3cm程度の鉄板を実際に曲げてみて実感として掴むことができました。専門的な図や表が示されるにも関わらず,平易な言葉で解説していただきました。

昼食後,広報センター岩田氏より工場内見学のための案内を受けた後,専用のヘルメットと軍手を持ってバスに乗り込みました。広大な敷地ですのでバスでの移動となります。外周部にある緑地帯を抜けるとUO鋼管,スパイラル鋼管が置かれている場所を通過し,プラスチックリサイクル設備,第4高炉,製品岸壁,厚板工場を見学しました。第4高炉前の撮影スポットでは,溶鉱炉から出てきた銑鉄を運搬する貨車専用レールがひしめいており,その高炉下では銑鉄をトーピードカーに注入する場面を見ることができました。圧巻なのは厚板工場。灼熱の鉄板がローラーテーブルを移動しながら,所定の大きさに加工されていく過程で大量の蒸気が発生し,熱を地肌で感じることができ,重圧延機で引き伸ばされている様子は“すごい”の一言でした。見学の後は,ホールに戻り,グループディスカッション・プレゼンテーション実習を行いました。銑鉄を移動する際,鉄が冷えて固化しないのはなぜか?圧延の際に材料を回転させるのはなぜか?など活発に質問がなされました。

今回の講座は,ものつくりの原点である原料から加工までの一端を学習しました。鉄の物性をしっかりと捉え,消費者のニーズに応える様々な製品開発・製造の過程を学習し,地球資源として豊富にある鉄を利用した製品と私たちの生活について知見を深めることができました。

次回は,今年度SPPの最終講座となります。第10回講座〔材料〕が今月末に行われます。

次回SPP講座予告『SPP第10回講座〔材料〕』

日時:11月26日(木)
場所:株式会社荏原エリオット
講師:株式会社荏原エリオットスタッフの皆様方
内容:「ものつくり加工技術の一端に触れようII」