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望洋理科特別講座(BSSP)「DNAと放射線の基礎」②

今回は、3年生の特進コースの生徒29名が、望洋理科特別講座(BSSP)として、木更津市にある公益財団法人 かずさDNA研究所にお世話になりました。

まずはじめに「DNA研究とバイオテクノロジー」というタイトルで、講義をしていただきました。講義は、広報・教育支援グループ特任研究員の長瀬隆弘先生にご担当いただきました。まず、DNAの構造やはたらきについてを復習していただきました。高校の生物基礎でも学びましたが、実際に塩基配列をアルファベットで羅列した電話帳のような厚い書籍の実物を見せていただいたり、1人がもっているDNAの長さをすべてつなげると、太陽系の直系の8倍もあることなどを教えていただき、DNAの情報量は莫大であるということを実感しました。その後、ゲノム解析についてもお話しいただきました。その歴史や、どのように解析技術が発展してきたかなど、興味深い内容でした。また、その中でかずさDNA研究所は重要な役割を果たしているということもわかりました。そして、その功績ともいえる、バイオテクノロジーの産業分野への応用や、ゲノム編集技術、医療への応用についても学ぶことができました。そこには、技術だけでなく倫理的な問題も大きく関わるということがわかり、考えさせられる内容でした。

座学の後は、施設見学と実習です。施設見学では、最新のDNA解析装置(シークエンサー)や様々な研究室、建物からの綺麗な景色も見ることができました。実習は、自分の口腔粘膜細胞からDNAを抽出し、お酒に弱い遺伝子を持っているか、強い遺伝子を持っているか(ALDH2遺伝子)を調べるというものでした。まずはじめは、普段、高校では使うことがないマイクロピペットの使い方から学びました。その後の実験操作も丁寧に教えていただき、最終的には電気泳動により、自分の遺伝子型を知ることができました。使ったことがない色々な実験器具を使うだけでも楽しく、最終的には自分の実験操作によって遺伝子の一部が解析でき、とてもいい経験になりました。

実習を終え、最後はディスカッションとプレゼンテーションを行いました。今回は「人間社会の役に立てば動植物の遺伝子を改変してよいか」「自分の設計図(DNA)を調べて将来どんな病気になるか知りたいか」「病気の治療なら人の遺伝子を改変してよいか」というような、生命倫理に関するテーマで実施しました。午前中の講義で得た知識も含め、各班でディスカッションしましたが、様々な考えが出てきました。講義をしてくださった先生も「正解があるわけではない」とおっしゃっていましたが、同じ班の中でさえ、同じ事象でも、捉え方や何を重要に考えるかなどは、人によって結構異なるということを興味深く感じました。どういう倫理観をもって科学技術を利用するかというのは、なかなか正解がない分野も多く、難しい問題を多く含んでいるのだと感じました。

量子科学技術研究開発機構とかずさDNA研究所での講座を通して「生命」は、科学技術により、様々なことが科学的に説明できる部分が増えてきた一方で、全くわかっていない部分もあることもわかり、神秘的、かつ、まだまだ研究することが多い分野なのだと感じました。そして、多くの人間や地球上の生物にとって、プラスとなる科学技術の創造や研究に興味を持つことができました。

量子科学技術研究開発機構での講座